Shokz OpenRun Pro 使用感 & Aeropex との比較レビュー
先日レビューしたShokz OpenRun Proを各シチュエーションで使い込んでみたので、実際の使用感及び、旧フラッグシップ機のAeropex(現:OpenRun)との比較レビューを挙げていこうかと。
まず結論から言うと、個人的には
- 日常使いのOpenRun Pro
- 特定シチュエーションのOpenRun(Aeropex)
という感じだった。音質に優れるものの防水性能が若干弱くなったOpenRun Proは通勤・通学などの日常使いで、Aeropex時代から変わらぬ強靱な防水性能を有するOpenRunはスポーツなどのアウトドアシチュエーションで最高のパフォーマンスを発揮すると感じた。
急速充電に対応したAeropex後継機・OpenRun
まずはOpenRunについて紹介。OpenRunは最上位機種に当たるOpenRunProにひとつ下位に当たり、バッテリー駆動時間や防水性能などは全てAeropex同様で、そこにOpenRun Proと同様の急速充電機能を搭載したモデルとなる。
型番:S803 Bluetooth5.1 防水規格:IP67 連続再生時間:8時間 重量:26g
保証期間:2年間長期保証(※要代理店登録)
一般販売はOpenRun Proと同時となる2022年3月1日だが、情報が入ったのはOpenRun Proよりも少し後だったため、先日のOpenRun Pro紹介で「Aeropex後継機」としたが、実際にはこのOpenRunこそがAeropex後継機に当たる。
最上位機種のOpenRun Proとの最大の違いは、やはり音質面。OpenRunは急速充電機能以外の性能面ではAeropexと同等のため、深みのある重低音再生を実現する第9世代テクノロジー「Shokz TurboPitch™」を搭載するOpenRun Proよりも音質面では劣ることとなる。
しかし防水性能ではOpenRun Proよりも明確に優れているという特徴があり、音質が劣ると言っても極端な差があるわけではないので、こうした特徴面で上手く住み分けができているのが良い感じ。
ちょっとした外出、通勤、通学などの日常使いでフルパフォーマンスを発揮
今回は色々とプライベートな諸事情で前回の紹介から約3ヶ月、じっくりとOpenRun Proを試聴する機会を得たわけだが、最も多く長く付き合うこととなったのは日々の通勤や、週末の買い出しなどの外出時。
最初に既に結論を述べている通りOpenRun ProのShokz史上最高の高音質という特徴は、こうした日常的なシチュエーションでの用途でこそ生かし切ることができた。
骨伝導ヘッドホンは基本的にアウトドアでの使用が考慮されているが、運動時などのながら聴き状態ではどんなに高音質であろうともその恩恵はあまり感じられない。
しかし普段の通勤や外出など、運動などのシチュエーションよりも比較的じっくりと音楽を楽しめるような状況下での試聴なら、OpenRun Proの高音質を十分に堪能できる。
もちろんアウトドアなどでのながら聴き状況でも十分な高音質を楽しめるが、やはりせっかくの高音質なのである程度集中して聴きたいもの。ゆえにアウトドアなどでのシチュエーションは防水性能に優れたOpenRun(Aeropex)に譲り、音質特化のOpenRun Proは通勤・通学などの日常使いをメインとする方がその性能をフルに発揮・活用できるかと。
もちろんアウトドアなどにも使えないというわけではなく、普通に使用する分には十分な防水性能を有しているし、その高音質は最大限では無いにせよ一定の恩恵はあるので、あらゆるシチュエーションで普通に使い倒すつもりでも全然OKなオールマイティ性も持ち合わせている。
Bluetooth Ver5.1の接続速度と安定性
OpenRun Proに搭載されているBluetoothはVer.5.1のため、接続元機器のBluetooth Verにもよるものの、その接続速度は非常に高速かつ安定している。当然マルチポイントにも対応しているため、複数機器間でも非常に快適に切り替え使用が可能になっている。
ただ、これはAeropexの時からの悩みでもあるが、通勤時の電車内である特定の区画走行時や駅のある場所に来ると、ちょうど電波障害が常時ある場所のためか、必ず接続が乱れる or 最悪強制切断になるのは相変わらず。
こればかりはOpenRun Pro自体の問題では無いのだが、こうした電波障害に対するシールドがもう少し強化してくれれば、さらに文句無しの素晴らしい機種になると思うけれど……さすがに無理か(笑)
音質はOpenRun(Aeropex)と比較して音作りの方向性が異なる感じ
既に挙げた通り、OpenRun Proには深みのある重低音再生を実現する第9世代テクノロジー「Shokz TurboPitch™」を搭載しており、またハード面でも重低音実現のためのバスレフ機能を果たしていると思われるメッシュ部分が搭載されているなど、OpenRun(Aeropex)と比較して特に音質面に力を入れているのが分かる構造となっている。
実際3ヶ月の間ひたすら試聴したが、確かに所有しているAeropexと比較してしっかりとした重低音が感じられるようになっており、これまでフラットに感じられた同じ楽曲でも明確な厚みというか立体感が感じられるようになっていた。
しかしOpenRun Proで何度も同じ楽曲を聞き込んでみると、ただ単に低音が強調されているというだけではなく、個人的な感覚にはなるが、どうも音への味付けというか音作りの根本そのものがAeropexとは異なっているように感じた。
もちろんこれは長年聞き慣れた楽曲を何度も聴き比べて初めて気付いた程度の違和感なので、さして気になるというほどのものでもないし、もしかしたらAeropexとの違いではなく、単なる個体差レベルの話かもしれない。
しかしやはり人によっては音作りにも好みがあるのは当然なので、購入前にはできればまず試聴して自分に合う音作りかどうかをしっかりと確かめてみるのも良いかも知れない。
Shokzアプリは滅多に使わないが、イコライザー切替とマルチポイント設定が最高に便利
前回(1月)の紹介時点ではまだ利用不可だったShokzアプリだが、一般販売後にはダウンロード・利用可能になっていたためアプリの方もしっかり試してみた。
Shokzアプリはこれまで骨伝導ヘッドホン本体のボタン操作で行っていた各種設定をスマホ上で可視化して行えるというもの。
これまでにも挙げたことがあるが、Shokzの骨伝導ヘッドホンではイコライザー切替やマルチポイント設定といった便利な設定項目があるが、本体のボタン操作でこれらを行うのは少しばかり面倒な上、マルチポイント接続はともかく、イコライザー切替に関しては今がどのイコライザー設定になっているのか音声案内がない(音声案内がある機種もある)。
そのためこれらがスマホ操作で簡単に行える上に可視化して設定確認できるのは、控えめに言っても最高に便利。正直もっと早くに欲しかった機能だ。
しかしながら普段から常用するかと言えばそうでもなく、イコライザー切替はそうそう頻繁にするものではないし、マルチポイント設定も一度設定してしまえばその後操作することがほぼないはず。そう考えればShokzアプリは決して必須というわけではないが、あればShokz製ヘッドホンライフがグンと快適になる。
Shokzアプリはブランド名がShokzになってから登場したため仕方が無いとは思うが、要望としてはできればこれまでに発売された旧AfterShokz製ヘッドホン類でもファームウェアアップデートなどで使用できるようにしてもらえれば、本当に文句なく最高なのだが……どうだろうか。
サイクリングや登山など、アウトドア環境下では音質面よりも機能面が光る
OpenRun ProがOpenRun(Aeropex)と比較して防水性能に劣ることから、アウトドア等での使用では最良の選択肢では無いというのは事前に挙げた通りだが、それでは性能比較にならないため、各アウトドアシチュで所有しているAeropexとの比較も行ってみた。
私が普段よく行っているサイクリングや登山などのアウトドア環境下での使用で目立った点は、やはりその機能・利便性。具体的にはOpenRun Proをスマホと接続させることにより、音楽視聴だけでなくスマホでの通話もハンズフリーで行えるようになっている点。
スマホとの接続自体はAeropexでも可能でその使い勝手も同様だが、その快適性は想像以上に大きい。サイクリングや登山など両手が自由に使用できない、スマホを自由に取り出せない状況下でハンズフリーで通話できるのは本当に便利。
対してOpenRun Proのウリである音質面については、やはりサイクリングでは走行時の風切り音、登山では自分の荒くなった息遣いなどのノイズに邪魔されて十分に堪能できないという予想通りの結果になったが、それでもそうした状況下で聴くには十分な音質は確保できている。
気になる防水性能面も、Aeropexよりは劣るとはいえIP55の防水性能は流れる汗、突然の雨程度なら何の問題も無く対処できる。もちろん水没や必要以上の大雨に晒された場合にはかなり不安の残る結果となるが、そうした状況になったら速やかにカバンなどにしまえば良いだけの話。
ただAeropexの場合は軽い水没や相当の大雨でも十分に耐え切る防水性能があったので、そこら辺がAeropexと比較してOpenRun Proがアウトドア向けとしての最良な選択肢では無いとした理由だが、そうした状況になる事の方が稀のため、ほとんどの場合気にならずに使用し続けることができるはず。
総評:正統進化を果たして他機種との住み分けもできている新フラッグシップ機は、やはりその高音質を実感できる環境下で使用するのがベスト
Shokz史上最高音質の獲得という正統進化を果たした最上位機種「OpenRun Pro」は、あらゆるシチュエーションでオールマイティに使用できるスペックを持っているものの、他機種に防水性能に特化したOpenRun(Aeropex)という機種が用意されている以上、冒頭で既に挙げた通り、
通勤・通学などの日常使いで使用してこそ最高のパフォーマンスを発揮する
のではないか?というのが個人的に出した結論となる。
これまでは通勤や買い物などの外出時にはAeropex、TV視聴やオンライン会議ではAS801やOpenCommを使用して、サイクリングなどのアウトドア時には通勤でも使用しているAeropexを使用していたが、今後は
- 通勤や外出時 ⇒ OpenRun Pro
- TV視聴・オンライン会議時 ⇒ AS801 or OpenComm
- サイクリングや登山などのアウトドア時 ⇒ Aeropex(現OpenRun)
という、明確な使い分けが可能になった。使い分けることにより各機種の集中使用による劣化も防げるし、万が一の故障時は使い回して補填できるようにもなった。まさに全方位隙無し。
OpenRun Proの気になる実売価格は約23,000円前後と少しばかり値の張る2万円超えの価格となるが、以前に比べShokz製品取扱店舗も増えてきたので、ポイントやセールなどを上手く活用すれば旧Aeropexとほぼ変わらぬ価格で入手することも可能なはず。
対するAeropex後継品のOpenRunは実売価格約16,000円前後と、Aeropexよりも機能が充実しているにも関わらず安価になっているため、もしアウトドアでの使用前提・防水性能第一で考えているなら、こちらはかなりお得に入手可能になっている。
2021年度末にいきなりブランド名変更のニュースが流れた時にはどうなるかと思ったShokzだったが、OpenRunシリーズによってその出だしは非常に快調という好印象を受けた。
最近は有名無名様々なメーカーから雨後の竹の子のようにポコポコ骨伝導ヘッドホンが出ているようだが、その中でも老舗となり実績もあるShokzには是非これからもその地位とブランド価値に相応しい、良質な機種を発表し続けて欲しい。
おまけ:壊れる時は壊れるAeropex……
先日、同じAeropex使いの友人から、「Aeropexが壊れた……」との報告あり。私のAeropexは多少ガタが来ているものの未だに正常に稼働中なので、一体何が起きたのか聞いてみると、
海釣りの最中に海に落とし、2時間ぐらいかけて根性で見つけて引き揚げるも既に壊れていたとのこと。
いや、そりゃそうだろ(笑) いくらAeropexが非常に高い防水性能持ってるとはいえ、2時間も海水漬けで無事とか考える方がどうかしてる。というかよく見つけたものだ……例え浅瀬でも海に落としたら普通諦めるだろ……
一応今は名称と急速充電機能が追加された新機種のOpenRunがあり、Aeropexよりも安値に購入できる旨を伝えたが、奥様の決済が降りるかどうか微妙とのこと。既婚者は大変だな……
高い防水性能を有し、強い捻れ性能を持つチタンバンドを採用しているAeropexとはいえ、壊れる時は壊れる……当たり前だが。その時は自分の胸に手を当てて、自分の使い方に非が無いかどうかをまず確かめよう。
要は、奨めた人間やメーカーにいらん文句を言わないように(笑)