パイロットの万年筆、例の閉店セールにて半額でお迎えすることに
昨日、「大散財の代償としてしばらくの間は超・禁欲生活」と言ったな? あ れ は 嘘 だ
以前母親の万年筆を発掘した際にちらっと言ったが、正直私の世代はシャープペンやボールペンこそが筆記具の主流であり、万年筆はもはや過去の筆記具。実用性よりも礼節や格式が求められる特殊な場ぐらいでしか必要とされないもの、というイメージが強い。
よく「正式な取引書類は万年筆で」「土地や自動車などの高価な買い物での契約書サインでボールペンは恥ずかしい」などという話をちらほら聞くが、私の人生においてこれまで自動車を購入した時もマイホームを購入した時も、万年筆なぞお目に掛かったことは一切無い。
私自身はもちろん、相手の営業担当だってそうだ。住宅及び土地の売買契約書、フツーにボールペンでサインしてたぞwww
まぁこれには、最近の契約書などは転写式のものも多いという事情もあるが。
それはともかく、それだけ万年筆というのはこれまでの人生において最も縁遠い筆記具だった。最近は安価なものもあるとは言え、基本的には「万年筆=高級」のイメージが強く、使いどころにも非常に困ると思っていた。
では、なぜそんな万年筆という価格的にも用途的にも敬遠しがちな筆記具を今回購入するに至ったのか?その答えは極めて単純である。
欲しかったから。
ああ、物欲って素晴らしい(笑)
もう少し理由を重ねるなら、そんな普段では全くと言っていいほど縁のない筆記具だからこそ、50% OFF というこの機会を逃せば、この先の人生において購入しようと考えることは恐らくないであろうと思ったからこそ、今回の購入を決意したわけである。
さすがにこの先の人生で万年筆と一切関わりがなくなるというのも勿体ないので……
人生初の万年筆に「パイロット カスタム74 2016年限定色」を選択
実は万年筆購入自体は昨日 50% OFF セールで散財した時から考えてはいた。何せロロマのペンケースと万年筆が同じショーケースで展示されてたのでwww
結局昨日は万年筆は購入を見送ったものの、帰宅後もひたすら悩み考え続け、そして最終的に購入を決意し、最後の最後まで悩んだ挙げ句選び抜いた、我が人生で初となる万年筆はコレだった。
パイロット カスタム74 万年筆。ちなみにペン先 14K 5号、ペン種は F(細字)を選択。
カラーは通称「仏壇カラー」とも呼ばれる、ブラックとゴールドの万年筆定番カラーにも見えるが、実はこれは通常のブラックではなく 2016 年度の限定色で、カラーこそブラックだが、通常品は無地でツルッとした樹脂軸であるのに対し、これはいわゆる「ヘリンボーン」と呼ばれる柄が刻まれた限定仕様のものとなっている。
軸の模様以外に通常品との差違はないが、価格は通常品が 10,000 万円のところ、限定色 Ver. は 12,000 円と 2,000 円高くなっている。
購入価格:12,000 円 ⇒ 割引後 6,000 円
昨日あれだけ散財したのに、うむ。全く懲りてないね俺。
キャップ部分のゴールドの金属リング部分に刻まれる「MADE IN JAPAN ☆ CUSTOM 74 ☆ PILOT ☆」の文字。国産品=絶対的高品質ではないが、それでも安心安定の「MADE IN JAPAN」のブランド力。実際品質の平均値は世界的に見ても群を抜いて高いし、何より国民が自国のものを信用・信頼できるというのは、当たり前のようでいて非常に重要で難しいこと。
やはり日本人として日本製は何より愛着持てるしね。
パイロットの万年筆の特徴でもある、クリップ部の丸部分。丸がないのもあるようだけど。
拡大すると良く分かる、樹脂軸表面に非常に細かく彫り込まれたヘリンボーン柄。この柄があるかないかだけで、単なる樹脂軸とはひと味違う印象を強く感じさせる。
ニブ(ペン先)部分。カスタム74 は 14 金の金ペン先で、サイズは 5 号。ペン種は手帳などへの細かい記述に適した F(細字)。
ペン種については色々と悩んだが、F が一番初心者に適し、また自分自身の用途を考えてみた場合一番汎用性があり応用も利くのは F と判断して選択した。
ニブを真横から。なるほど、これは確かにボールペンなどのような精密品として機能美ではなく、芸術品の造形美としての印象を強く受ける。
どちらも技術の粋を極めて制作された精密工作であることは共通しているが、受ける印象は全く違うのが面白い。これは確かに一度沼に嵌まればとんでもないことになりそうだ……
胴軸、首軸、キャップに分解してみる。
付属で黒のカートリッジインキがあったが、コンバーターを入れる予定なので実際に筆記を試すのはまだもう数日先になるかと。
サブ万年筆として「パイロット コクーン」を選択
サブ万年筆? 自分で何言ってるか分からない。
でも、買ってしまったからこそ今手元にあるのは、カスタム74 と同様パイロットの万年筆である「コクーン」。2013 年にグッドデザイン賞を受賞したことで有名な、リーズナブルな価格帯の万年筆。ちなみにカラーはブルーをチョイス。
購入価格:3,000 円 ⇒ 割引後 1,500 円
いや、ねぇ……ほら、最近の万年必要のインクって色んな色があるんでしょ? だったら 1 本じゃ足りないじゃんか、ねぇ!
……という妄想に取り憑かれた結果、つい購入してしまったコクーン。コクーン自体は前から購入したいと考えてたもののひとつであるが、考えていたのはシャープペンかボールペンで、まさか万年筆の方に手を出してしまうとは……
カスタム74 とは異なりペン先は合金(ステンレス)製だが、ペン種はカスタム74 同様の F を選択。職場近くの文房具店で試筆した感じでは、カスタム74 の金ニブほどの滑らかさはないが、それでもインクフローも書き心地も悪くなく、スラスラと筆記できた。
軸は金属軸のため価格の割に高級感があり、素材はアルミと思いきや黄銅・塗装とのこと。ニブ素材はともかく、外観の高級感ならカスタム74 にも劣らぬ仕上がりなのは凄いと思う。
コクーンもカートリッジインクだけでなくコンバーターが使用できるので、カスタム74 と共にカートリッジを後日購入してからの書き心地のチェックとなる予定。
人生初の万年筆用インクとして「パイロット iroshizuku <色彩雫>」を選択
万年筆を購入したら、必ず必要になるのが万年必要のインク。購入した万年筆がパイロットのものなのだから、当然インクもパイロットで……というわけで、
インクの発色だけでなくインクボトル自体も美しい、パイロットの「iroshizuku <色彩雫>」を購入。ちなみに 50ml ボトルの方はめぼしい色が粗方売り切れていたようなので、15ml の小ボトルから好きな色を 3 色自由に選択できる「iroshizuku mini<色彩雫> 3 色セット」から、
この 3 色をチョイス。狙っていた「tsuki-yo【月夜】」はさすがに一番人気の色のため既に店頭から消えてしまっていた。残念。
購入価格:2,100 円 ⇒ 割引後 1,050 円
とは言えこれらの色については試筆台があったので、しっかりと試筆して色合いを確認してから購入したので、十分満足のいくチョイス。特に「momiji【紅葉】」の赤はかなり好みの色なので、今から万年筆に入れるのが楽しみ。
そう言えば万年筆にインクを補充することを「飲ませる」と言うらしい。上手いこと言うな……これからは私もこの先例に倣うことにしましょうそうしましょう。
ちなみに万年筆を購入することは「お迎え」と呼ぶのが通例らしい。こちらは下調べの段階で既に知っていた情報なので記事タイトルにしっかり使用してます。
ロロマクラシック システム手帳と万年筆、運命の邂逅とその結末
さて、経緯はどうであれせっかく迎えた万年筆、やはり何か活用の道を見い出さなくては文字通り宝の持ち腐れになってしまう。万年筆は定期的に使用していないとインクが乾き、書き出しが鈍くなってしまうデメリットもあるようだし……
万年筆の活用方法としてまず思いつくのが、昨日購入したロロマクラシックのシステム手帳用筆記具として道。ある意味王道な使用用途。
しかもそれぞれが同じシチュエーション(閉店半額セール)で入手した、高級本革手帳と高級万年筆。それはまるで、お互い巡り会うために生まれてきたかのよう。こうして購入して我が手に迎えたのも、きっと運命……
はい。これは予想してました。予想してましたよ?
カスタム74 のクリップの丸ポチと軸径、絶対ロロマには合わないだろうってさ!
実際には合わないわけでなく多少引っかかりが生じる程度なので使えないわけではないが、常用するにはちとストレスがキツいかも……
幸いロロマのペンホルダーは可動調節式のため、それを上手く応用すれば、
ペンホルダーに軸を通すのではなくクリップだけ引っかけて、
ホルダーを最小まで絞れば、このようにスマートに万年筆を収納することも一応可能。
対してコクーンとロロマ手帳の相性は悪くなく、ペンホルダーへの収納にも特にストレスを感じずスムーズに行える。高級感と言うか気分としてはやはりロロマにはカスタム74 を使用したいが、別にコクーンとの組み合わせもアリと言えばアリかも。
最後の最後まで悩んだカスタム74 の対抗馬は、プラチナ万年筆 #3776 センチュリー
カスタム74 購入の経緯の際にも少し触れたが、カスタム74 を購入するにあたり、悩んだのはペン先の種類や購入費用のことだけでなく、メーカーについても悩みに悩んだ。
と言うのも今回の 50% OFF セールで入手可能だった万年筆は何もパイロットのものだけでなく、その他のメーカーの万年筆も当然選択肢としてあったからだ。
調べてみると各メーカーの万年筆には、それぞれにいわゆる「定番品」がある。それが以下の 3 種類。
それぞれが定価 10,000 円台で購入可能な金ニブ(14 金)万年筆ということで、初めての万年筆、あるいは格安万年筆からのランクアップ先第一候補として提示される、各メーカーの主力であり定番中の定番とされる万年筆達。
この中でショーケース内に確認できたのはパイロットのカスタム74 と、プラチナ万年筆の #3776 センチュリー。セーラー万年筆のプロフィットスタンダードは既に完売したのか、姿はなかった。
候補となったカスタム74 と #3776 センチュリー、実は会社近くの文房具店で両方とも全ペン先の試筆が可能だったので、購入前にそれぞれの書き味をしっかりと確かめてみた。
結果から言うと、実は書き味としてはカスタム74 よりも #3776 センチュリーの方が自分の好みに合っていた。インクフローや書き心地の滑らかさについてはほぼ同等で甲乙付けがたいレベルだったが、#3776 センチュリーの方がカスタム74 に比べてどのペン先においても筆記線が細くカリッと書けたからだ。
例えばカスタム74 のペン先 F(細字)なら、#3776 センチュリーの M(中字)で同等の細さの線を筆記できた。F なら EF(極細字)に匹敵する細さになった。
また #3776 センチュリーに限らずプラチナ万年筆の万年筆には、長期間使用しない場合でもインクの乾燥を防ぐ「スリップシール機構」が搭載されており、この点も万年筆初心者である自分にとっては大きな魅力だった。
しかしながらこの書き味の違いが経年劣化によるもの、つまり試筆用カスタム74 の方が #3776 センチュリーよりも使い込まれていたためペン先が磨り減り字幅が太くなっていたという可能性もないわけでなく、あくまで「展示されている試筆用万年筆の使い心地は #3776 センチュリーの方が好み」というだけの可能性も疑い、そりゃあもう衣疑心暗鬼になる勢いで大いに悩みまくった(笑)
結果としては初志貫徹、パイロットのカスタム74 を購入することに決定したわけだが、まずはカスタム74 を使い倒して万年筆のイロハを学び、もしその上で万年筆との付き合いを深めていこうと思えたなら、その時改めてプラチナ万年筆の #3776 センチュリーやセーラー万年筆のプロフィットスタンダードも視野に入れていきたい。
……しかしカスタム74 や #3776 センチュリーの試筆台は万年筆扱っている文房具店ならどこでも結構見かけるけど、セーラーのプロフィットスタンダードの試筆台って見たことないな……