YAMAHAのサウンドバー「YAS-109」購入&視聴レビュー
寝ても覚めても入院中も常に映画三昧な母親のため、サウンドバー人気ランキングで常にトップクラスに位置するヤマハのサウンドバー「YAS-109」を誕生日プレゼントとして購入。
まぁ半分は確かに母親のためだが、実のところ自分でもサウンドバーに興味があったものの、自室には常に6基のスピーカーによるホームシアターシステムを導入済みだったため、一度サウンドバーを試してみたいという衝動に負けて母の誕プレという口実で購入したという裏の経緯があったり(笑)
音響関係に詳しくない人のためにサウンドバーのことを簡単に説明すると、サウンドバーとは、
の総称で、要は「安価に」「お手軽に」「TVの音質を向上できる」一体型スピーカーシステムのこと。
サラウンドシステムを完備した本格的なホームシアター環境を実現しようとすると、高機能なAVアンプに複数個のスピーカーを用意するだけでなく、それらの相互規格を気にしつつそれなりの性能のケーブルで適切に配線し、最後に最適な音響効果を生み出すための設置場所などの微調整……と、とにかくコストも時間も掛かりまくる。設置した本人が言うのだから間違いない。超面倒。
しかしサウンドバーは「設置するだけでOK」という、コストと手間の両方の問題の一切を解決してくれる夢のようなスピーカー。
もちろん再現するのはあくまでも「擬似的なサラウンド環境」のため、究極的な音質面では本物のサラウンド環境である本格ホームシアターには敵わないかも知れないが、それでも最近のサウンドバーは非常に高性能になってきており、音質面でも安価なホームシアター程度なら歯牙にも掛けないレベルとなっている。
そういうわけで昨今の自粛ムードから映画にゲームといった自宅での各種娯楽が非常に隆盛な今、音響環境の底上げのために非常に注目されているのがサウンドバーとなる。
数あるサウンドバーの中でも、本格的なホームシアター構築に必須となるAVアンプやスピーカーでも有名なヤマハのサウンドバーは、価格と性能のバランスが非常に良いコスパ最高のサウンドバーとして昔から非常に評価が高かったため、数あるサウンドバー候補の中から最終選定に残り、今回の購入に至ることに。
YAMAHA YAS-109 開封の儀
では早速YAS-109を開封。
YAS-109は別接続の部品類が一切無い、完全一体型のサウンドバー。本体が丸ごと梱包されているため、梱包サイズは中々のもの。
外箱は送り状が貼り付けてあったりなどで少々汚れ気味だったが、内装は特に問題無し。
YAS-109本体を取り出す。形状は横に長細い長方形で、上側に5.5cmスピーカーユニットが2基、2.5cmツィータードームが2基、そして左右側方に7.5cmサブウーファーが各1基搭載されている。
他に付属品としてリモコンに説明書類、電源コードと光デジタルケーブルがあるが、HDMIケーブル類は同梱されていないため、別途適切なものを用意する必要がある。
YAS-109各部位チェック
YAS-109はあらゆる機能が一体となったオールインワン型のため、非常にシンプルかつインテリア性も高い外観形状となっている。
表示パネル部。タッチパネル式で本体のパネル部でも操作可能だが、基本的にはリモコンかスマホアプリ、あるいはAlexa(アレクサ)での音声での操作となるため、このパネル部で操作することはほとんどない……はず。
左右側方にサブウーファーが搭載されており、低音もしっかりと出力される。もしこれで物足りようなら別途単品のサブウーファーを追加接続することも可能。
本体はファブリック素材で覆われており、見た目も触り心地も非常に柔らかで優しく、どこに設置しても親和する外観となっている。
しかしながら若干ゴミや埃が付きやすく、また払いにくくもあるため、設置場所によってはこまめな掃除が必要になるかもしれない。
一度設置したらそうそう見ることはないYAS-109の裏側。表側同様非常にシンプル。
コネクタ類の集うインターフェース部もAVアンプなどに比べればグッとシンプルで分かりやすい。基本的には電源ケーブル、TVとYAS-109を繋ぐHDMIケーブル、YAS-109とHDDレコーダーやゲーム機などを繋ぐHDMIケーブルの3種類のケーブルで事足りる。
LANケーブルはAlexaによる音声操作やオンラインアップデートをしたい場合は必須だが、YAS-109を普通に使用するだけなら特に必要ない。
壁掛け設置にも対応。対応するネジ径はM5。壁掛けにする際は付属のテンプレートを使用すると、ネジの取り付け位置を簡単に決定できる。
YAS-109 設置&視聴レビュー
それではいよいよYAS-109を設置し、実際に視聴してみる。
前述の通りYAS-109の設置は非常に簡単で、箱から取り出してケーブル類を差し込むだけなので、AV機器に慣れている人なら10分もあれば終わってしまうほど。
ただそれなりにサイズがあり、かつHDMIケーブルは別途用意する必要があるため、事前に設置場所を決めたり、HDMIケーブルを用意しておく必要があることには要注意。
バーチャル3Dサラウンド技術「DTS Virtual:X」が想像以上の音場を再現
YAS-109の音響機能で最も注目されるのは、やはりバーチャル3Dサラウンド技術「DTS Virtual:X」。これは前後左右だけでなく高さ方向の音場も擬似的に再現する音響技術で、文字通り「室内全体が包まれる」ような音場の広がりを再現することで、映像と音声の一体感を高め、より深い没入感を生み出すというもの。
今ではヤマハ以外のメーカーのサウンドバーでも標準搭載されている機能ではあるが、ヤマハのサウンドバーはYAS-109の前々機に当たるYAS-107にてこの「DTS Virtual:X」に世界で初めて対応・搭載したということで話題と注目を集めた。
その音響効果は2万円台で購入できるスピーカーとは思えないほどのサラウンド音場を室内に発生させ、低音・高音の輪郭がハッキリとしている映画では特に効果が高く感じられた。
ただ、映像・音声ソース、あるいは個人の好みなどによっては、非常に音場再現度の高い「DTS Virtual:X」ではその効果が仇となり、室内に広がる音場が少々耳障りに聞こえる場合も。
そうした場合は別途用意されている「ムービー」「テレビ」「ミュージック」「スポーツ」「ゲーム」の5つのサラウンドモード、あるいはサラウンド効果をカットした「ステレオ」の各モードを選択しつつ、好みによって人の声を聞きやすくする「クリアボイス」や、より低音を強調する「バスエクステンション」の組み合わせを試すことで、映像・音声ソース、そして自分に合った最適な視聴環境を追求できる。
通常のTV視聴時の音声品質も格段に向上
YAS-109の性能が最大限に発揮されるのは、やはり映画やゲームのように出力音声にメリハリのある、サラウンド再生が前提のソース類だが、そもそもの基本的なスピーカーとしての機能がTV内蔵のスピーカーよりも物理的なサイズも品質も格段にハイレベルかつ、前述の通りテレビ用のモードも用意されているため、普通のTV番組の音声であっても高品質に出力される。
そのため映画視聴やゲームプレイが目的ではなく、単に「TV内蔵スピーカーの音質が不満」というだけの人であっても、YAS-109を設置するだけで非常に高い満足を得られる。
Alexaやスマホアプリについては使用しない予定なので未評価
正確には使用しないというかできない。というのも設置する母親の部屋には有線LANがないかつ、母親がそうした機能をあまり好まないため。
ネット上ではAlexaやオンライン接続での不具合(フリーズなど)が散見されており、それらの実態を確認するためにも一度は繋ぎたいところだったが、まぁ余計なことはしない方が吉ということで……
しかしヤマハのスマホアプリ「Sound Bar Controller」からのYAS-109の操作はちょっと興味があるため、機会があれば少し試してみようかと。
HDMIケーブルで接続する際は、HDMIケーブルだけでなくTV側の対応にも要注意
YAS-109設置前の注意事項として、以下の機能に「TV側・HDMIケーブル側の両方とも」対応しているかを事前に確認しておきたい。
- ARC(オーディオリターンチャンネル)機能対応か
- 3D映像・4D映像出力に対応か
特に注意したいのは「ARC機能」への対応で、ここ最近のTVはもちろん多少古いTVであっても上記の機能にほとんど対応しているはずだが、10年以上昔の旧型の場合対応していないこともある。
ARC(オーディオリターンチャンネル)とは、要はHDMIケーブル1本でTVからYAS-109側、YAS-109からTV側への音声の双方向通信を実現する機能で、ARCに対応しているTVとHDMIケーブルでYAS-109を接続すれば、TVの音声をYAS-109で再生できる。
もし万が一ARCに対応していない場合、HDMIケーブル1本ではTV側の音声をYAS-109に送ることができないため、YAS-109に同梱されている光デジタルケーブルでTVとYAS-109を繋ぐ必要がある。
上記を踏まえ、YAS-109接続のために用意するHDMIケーブルは、「ARC対応」「3D・4K対応」の、正規のHDMI認定を受けたHDMIケーブルを2本(TV接続用と、レコーダーなどとの接続用)を用意するのが望ましい。
3D・4Kに関してはTV側が対応していないなら特に気にする必要はないが、普通に信用・信頼できるブランドのHDMIケーブルなら、大体上記規格には全て対応しているはず。
視聴方向に向けて真正面に設置することで、さらなる音質向上も見込める
基本的にサウンドバーは難しいことを考えずにテレビの前にポン置きするだけで音質向上できるという手軽さが魅力のひとつであり、それはこのYAS-109においても同様となる。
しかしながらYAS-109のスピーカーは天井方向(真上)に向けて搭載されているため、これを視聴方向に対して真正面になるように設置すれば、さらなる音質(音の広がりが深さなどの臨場感)向上が見込める。
上記のようにヤマハの公式サイトにも、テレビ壁掛け時にはスピーカーが真正面を向くように設置されている図があることから分かる通り、YAS-109は壁掛けにも正式に対応している(真正面に設置することで音質が向上するとの明記は無いが)。
よって、今回は単純にテレビ前にポン置きしてしばらく視聴した後、ホームセンターで購入した金具類を使用した簡単なDIYでYAS-109を真正面に設置してみた。
金具・ボルト類は事前にテレビの壁掛け用ネジ穴規格を調べてから購入する
YAS-109を接続するテレビは壁掛けではなくラック置きのため、今回は未使用のテレビの壁掛け用のネジ穴を利用してテレビの上部にYAS-109を設置することにした。
今回用意したのは、U字型(アングル)金具と、テレビの壁掛け用ネジ穴に金具を接続するためのM8ボルト、そしてYAS-109と金具を接続するためのM5ボルトと、座金やスプリングワッシャー類。アングル金具は1800mmを購入して60cm×2本、30cm×2本にカットしてもらったが、加工費含めても2,000円ちょっと。
今回YAS-109を接続するテレビは10年ほど前の旧型のビエラ(しかもプラズマ)で、事前にネジ穴径と各ネジ穴間のピッチをしっかりと調べてから上記金具類を購入した。
YAS-109自体はそんなに重量が無いため、金具は必要な長ささえクリアしていればもっと安価なフラット金具でも良かったが、念には念を入れて、縦横両方向に対し十分な曲げ強度があるアングル金具をチョイスした。
まずは60cmのアングル金具をテレビのネジ穴に固定。使用するボルトはM8なのでかなり太く強度があるため、相当強固に固定される。
次にYAS-109を30cmアングル金具を用いてテレビと固定。YAS-109の壁掛け用穴にはM5ボルトを使用。
ここで注意したいのは、YAS-109の壁掛け用穴に掛けるのはM5ボルトの「頭部」にすること。YAS-109の壁掛け用穴に六角ナットを入れてネジを閉めていく……などとすれば、もれなくネジ先端部がYAS-109を壁掛け用穴底部を貫くという憂き目に遭ってしまう。
私はギリギリ破損手前でこの事実に気付き、何とか事なきを得た(笑)
十分な強度のある金具+テレビベゼル上部乗せで、安定性に問題無し
実作業は1人でゆっくり確実にやって約30分ほどで、YAS-109のテレビ上部設置が完了。
これでスピーカーが視聴方向に対して真正面に向くので、より高い音響効果が見込めるはず。
YAS-109を固定している金具の強度は少々オーバースペックなほどに十分かつ、テレビベゼルの上に乗るようにして重量を支えているので、多少の振動に対しても十分な安定性を確保できている。
裏側から見た図。YAS-109とアングル金具はボルトで接続しているわけでなく、あくまでも壁掛けの要領でボルト頭部に「掛けているだけ」。とは言ってもアングル金具裏側から六角ナットで十分に締めているので、それなりの固定強度もある。
YAS-109 VS 6.0chホームシアター
テレビ前、ラック上にポン置きした状態に対し、テレビ上部に設置して真正面にスピーカーが向くようにした状態では、明確に「音の方向」が分かるようになった。
当然ながらYAS-109の機能的・性能的な音質には変化無いが、音の方向が直接的に視聴者に向くようになれば音響の輪郭などが非常にクリアになり、結果として体感的には音質が向上したように感じられるので、もし設置場所に余裕があり、ちょっとした手間とコストをかけられるなら、YAS-109の設置方向を工夫するのは非常にお薦め。
さて、最後にちょっとした試みとして、最終的にYAS-109が実際にAVアンプと6基のスピーカーを用いたホームシアターシステムと比較してどの程度なのかを聴き比べてみたが、まぁ結論から言うと
さすがに物理的なスピーカーの数には疑似サラウンドでは敵わなかった。
6基のスピーカーを用いて前後左右をカバーしたホームシアター環境では、文字通りリアルタイムで音声が360度全方位から聞こえてくるので、擬似的なサラウンド環境を再現するYAS-109ではどうしても敵わない。
通常のサラウンド録音の映画視聴では実のところそれほどの差は感じないことも多いが、明確に差を感じられるのはやはりゲームプレイ時で、プレイキャラの視点を動かす度に聞こえてくる音声もそれに伴ってリニアに移動していくその様は、疑似サラウンド環境ではどうしても越えられない壁となってくる。
それにアンプからスピーカー、ケーブル類に加えて自室の補強工事も含めて100万円近く掛けて構築したホームシアター環境が2万円台のYAS-109に負けてもらうのはちょっと困る(笑)
詰まるところ、本格的なホームシアターとYAS-109などのサウンドバーでは、求められる機能や性能がそもそも違うため、絶対的な音質やサラウンド環境の再現度での比較ではそれぞれの価値を正確には見い出せない。
本格的なホームシアター環境は、
- 巨大なAVアンプや複数のスピーカー類を設置できるスペースがある
- 最適な音響効果を発揮できる設置を追求する手間暇をかけられる
- それなりのコストをかけられる余裕がある
- かけた手間暇やコストに見合った使い方ができる(音楽や映画、ゲームが趣味中の趣味)
上記のような人が求める環境であり、対してサウンドバーは、
- スペースを取らず、コンパクトに音質改善を行いたい
- 余計な手間暇を掛けず、設置してすぐに十分な音響効果を見込みたい
- 本格的なホームシアター環境よりもコストを押さえたい
- たまに見る程度の映画やゲームでも、それなりの音質で楽しみたい
上記のような人に向いた環境となる。つまりは適材適所、自分が求めるものに応じて適宜選択していくのがベストかと。
総評:家籠もりが多くなる昨今、より良い視聴環境のための最適解のひとつがYAS-109
ここ最近はコロナの影響のためにどうしても家に籠もりがちになり、普段はそれほどテレビや映画を見ない、ゲームをしないという人であっても、退屈凌ぎにそうした娯楽に手を出しがちになるし、それをきっかけに趣味になる人もいるかと思う。
そうした、言わば「入門者」「ライト層」で、一時凌ぎでも良いので少しでも良い音響環境を……と考えているならば、サウンドバーはまさにそうした願いを叶えてくれる最適解のひとつとなる。
サウンドバーは何と言っても「安い」「簡単」「それでいて満足」の三拍子が揃っている。中でもヤマハのYAS-109をはじめとするサウンドバー製品は昨今人気のあるサウンドバーの中でも常に上位をキープし続けており、とにかく性能とコストのバランスが非常に良く、実際に使用した人の満足度も高い。
残念ながら音質的に自分には合わなかった、あるいは映画やゲームを趣味に仕切れず大して使う機会が無かった……といった結果になっても、2万円台という価格は本格的なホームシアター環境に比べれば大きな痛手にはならず、設置場所もコンパクトのためそれほど邪魔にはならない。
色々と憂鬱な昨今だからこそ、サウンドバーによる音響環境改善だけでなく、少しでも良い家籠もり環境を整えるのは非常に有意義な選択肢かと。具体的に言うと、
PS5と新しい有機ELテレビ欲しぃ……
ちなみにPS5は抽選落ちたよ畜生……