FFⅣピクセルリマスターをフルコンクリア。かつての不可能を実現したい貴兄へ……
先日のFFⅠ~Ⅲピクセルリマスターに続き、9月9日に発売となったFFⅣピクセルリマスターもこの度無事にクリア。もちろんただ単にクリアした訳ではなく、原作版プレイ時は小学生で時間的制約がありどうしても不可能だった、
全アイテム・全隠し要素完全回収のフルコンプリートクリア達成
を見事成し遂げることができた。嗚呼、感無量とはこのことか……何せFFⅣは私が生まれて初めてプレイしたFFシリーズであり、ついでに生まれて初めて時購入したSFCソフトでもあった(定番のマリオワールドは弟が持ってた)。
まさに思い出の塊。青春の幻影。
しかしながら当時のお子様がプレイしてコンプリートするには少々内容がキツ過ぎたことも否めなかったFFⅣ(まぁFFシリーズはどれもそうだが)。それをこうして大人の力で捻じ伏せられる日が来ようとは……
FCとSFCのグラフィックレベルの差か、リマスター感はFFⅢまでと比べて多少大人しめな印象に
FFⅣもピクセルリマスターということで新たに作成あるいは改善されたエフェクトやグラフィックが随所に見られるが、全体的なリマスターとしての印象はFFⅠ~FFⅢよりもあまり原作版と一見しての代わり映えがないというか、言うほど原作版から極端な進化はしていない感じだった。
これは原作版FFⅠ~Ⅲまではファミコン(FC)というハードの性能限界があったため、その分ピクセルリマスターによるグラフィックの進化が著しく感じられたのに対し、FFⅣ以降はハードがスーパーファミコン(SFC)に移行したことでグラフィックを含む各種性能が爆発的に進化したため、その分リマスター感も薄れたのだと思う。
とは言え進化している部分はしっかりと進化しており、例えばバロン城のたいまつのゆらめきや、航行シーンでの波飛沫などは、SFC時代とは比較にならないほどに造り込まれている。
思えばSFC最後のFFである「Ⅵ」は原作版であってもかなりのレベルのグラフィックだったし、今後発売になる「Ⅴ」や「Ⅵ」のピクセルリマスターはさらにリマスター感は小さくなる傾向にあると思う。
BGMについては賛否両論は相変わらずだが、個人的にはかなり好みのアレンジに仕上がっていた
原作版とアレンジ版、どちらが良いかは言及してはいけない。戦争が起きる。
でも敢えて、個人の好みとして言わせてもらうと、
アレンジ版の「オープニング」と「メインテーマ」は最高でした。
「オープニング」はバロン城からの旅立ち時と、ラスボス戦直前のアレね。「メインテーマ」は地上フィールドでのBGM。この2曲は昔から好きで当然サントラも購入したし、曲も垂れ流し状態だった。
「Ⅲ」のリマスター版のアレンジBGMは結構好き嫌いが多かったが、「Ⅳ」のアレンジBGMはこの2曲を筆頭に全体的に見てもかなり良さげに仕上がっていた。もちろん原作版の方が良かったと感じるものもあったが(カルコブリーナは原作の方がホラーな雰囲気出てた。アレンジ版は艶っぽい別のイメージになってる感が……)、個人的には「Ⅳ」のアレンジBGMに関しては概ね成功ではないかと感じている。
まぁBGMに関してもグラフィック同様、FCハード限界のあった「Ⅲ」までと比較して飛躍的に音質も向上したSFCの「Ⅳ」とでは原作の音質も桁違い(FCは同時発音数3音→SFCでは同時発音数8音の約2.7倍)なので、その分アレンジしても違和感が小さくなっている部分もあるのかも知れない。
概ね良い出来だが、それでも改善願いたい箇所も幾つかある
言い出すとキリが無いが、敢えて指摘すると一番最初、序盤中の序盤。セシルとカインがミストの村への任務に旅立つべくバロン城を発ち、オープニングが流れるFFⅣを代表するあの名シーン。
どう考えても原作版よりフェードアウト早過ぎ。
もうちょいゆっくり!もう少し感慨深く!原作版のあのゆっくりとフェードアウトしてオープニングシーンに切り替わっていく際の感動と高揚感を返してよ!……と小学生の頃の思い出にハイキックされたショックで叫んでみる。
あと、これはSFC原作版と比較してないので何ともだが、
敵キャラが何か小さくなってね?
自キャラとの対比というか、ワイド化した画面上の比率の問題か、何か原作版よりもスケールダウンというか、小さく見えるような気がしてならない……
特にゴルベーザやゼムスなどの「縦に長い」敵キャラについてこれは顕著で、明確にボリュームも迫力も足りていないような……昔はもっと画面いっぱいに映っていたような気が……
ゲーム難易度自体は高くないが、実績コンプはやや難しめか
FFⅣもこれまでのピクセルリマスター同様、ある程度の難易度調整がされており、既にネット上では指摘されているとおりエンカウント率やバックアタック率などは原作版と変わらないものの、レベルアップに必要な経験値が下げられてるかつ、敵の強さなどが若干下方修正されており、最初から最後までかなりサクサク進めることができる。
そのため原作版では難所だった場所や難敵だった相手もかなり楽に攻略可能になっており、原作版のつもりで慎重に進めていると、あっという間に適正レベルを大幅に超えてしまうほどにレベルアップし、結果さらに難易度が下がってしまうという新たな問題も。
実際、原作版では普通にプレイしていれば最終ダンジョンである月の地下渓谷最下層~ラスボス戦あたりでレベル50前後だったはずが、ピクセルリマスターでは気がつけば全員レベル70~80前後となっており、かつてあんなに倒すのに苦労していたフェイズやベヒーモスといったボス級雑魚敵が本当の雑魚敵になる始末。
しかしながら、こんなゲームの進めやすさ・クリアのし易さに対して、用意されている全30の実績を獲得しようと思うと難易度は途端に急上昇する。
「Ⅲ」までの実績は基本的にゲームを順当に進めていけばほぼ全てを問題無く獲得できるものばかりで、困難なものでもせいぜい「宝箱の回収率100%」や「全ての場所を訪れる」など、ちょっと手間をかければ誰でも気軽に達成できるものばかりだった。
……が、「Ⅳ」ではこの実績に、殊もあろう事に「召喚コレクター」「伝説のしっぽ」、そしておまけに「魔物図鑑・完全攻略編」が加わった。原作版をプレイした経験のある人なら分かるだろうが、これらの実績達成はかなり鬼畜の所業である。
まずは「召喚コレクター」。これは隠し召喚獣である「ゴブリン」「コカトリス」「ボム」「マインドフレア」を敵ドロップでアイテムとして入手し、それらを使用してリディアに召喚魔法として習得させることで達成できるが、隠し召喚獣のドロップ率は嫌がらせの如く低確率。
存在は知っていてもあまりに時間が掛かり過ぎるため、原作版では入手は断念せざるを得なかった人はかなり多かったのでは無いかと思うし、そもそも隠し召喚獣があったことすら知らなかった人も多いだろう。
「伝説のしっぽ」はご存じ「Ⅳ」最強の隠し防具「アダマンアーマー」を入手するために必要な隠しアイテム「ピンクのしっぽ」を入手し、アダマンアーマーと交換することで達成できる実績。
ピンクのしっぽについてはあまりに有名なため改めて語る必要もないだろうが、入手までのハードルが常軌を逸して高いことで有名。
まず、ピンクのしっぽをドロップする「プリンプリンセス」とエンカウントするまでのハードルが病的に高い。エンカウントしてもドロップ確率極小のため入手するまでに気の遠くなる時間が必要。そのため入手できる頃には全員レベル99最強状態で既に入手する意味合いが薄れていることも多々ある。まるで地獄の三重苦。
そして最後に待ち受けるのは「魔物図鑑・完全攻略編」。これ自体は「Ⅲ」までにもあった「モンスター図鑑コンプリート」が条件のありふれた実績だが、「Ⅳ」のモンスターはとにかく期間限定・地域限定・出現条件特殊な連中が多いため、「Ⅳ」のモンスター図鑑コンプリートはすなわち集中力と注意力と忍耐力の限界を試すこととほぼ同意。
幸いにもモンスター図鑑は別セーブデータとも共通記録となるため、こまめにセーブを分けていれば期間限定・地域限定モンスターには対応できるが、出現条件が特殊なモンスターや出現率が低いモンスターに対してはもはや運にすがらざるを得なくなる。
上記の実績が存在する理由から、「Ⅳ」の実績コンプリートは「Ⅲ」までとは比較にならないほどやり応えがある。言い換えると無茶振りが過ぎる仕様に成り果ててしまっている。
一応救済措置として、「ピンクのしっぽ」をはじめとする各種レアアイテム入手に役立つ(と言うよりほぼ必須の)「アラーム」の入手方法の増加と隠し召喚獣のドロップ率アップが今後のアップデートで約束されているらしいが、
やったよ。フルコンプ。アップデート前に。
見よ、レア装備類で固められた防御力200オーバーのセシルの勇姿を……っ!
これが……これこそが人生初のFFに対するケジメ、かつて子どもだった自分への回答として、やり尽くしましたよ……結果、何を得て何を失ったかは敢えて言わないけど。
クリアまでの必要総時間と、遊び尽くすまでの総時間
「Ⅳ」ピクセルリマスターは前述の通り、遊びやすさだけを見ればかなり低難易度と言えるようにバランス調整されている。そのため全くの初見プレイでも20時間前後、原作版をプレイ済みで全体の流れを周知している人なら多分10時間ちょいもあればクリア可能。
これは良く言えば「遊びやすい」、悪く言えば「ヌルい」難易度なため、原作版「Ⅳ」の緊張感が好きだった人には、少々不満の仕上がりになってしまっているだろうが、近年のゲームバランス傾向からの万人受けを考えれば、ほぼ良いリメイクではないかと。
上記は地下渓谷の封印武具全回収直後のデータで、経過時間は約17時間。近年では内容が薄いと言われかねないが、当時のRPGとしては結構なボリュームだった。
しかし個人的にはRPGはサックリクリア派ではなくジックリ吟味しながら進める派なので、サクサクッと苦労なく進められるお手軽さではあったが逆にそれが少々不満の残る難易度調整と感じてしまった。
しかし同様に前述の通りフルコンプしようとするなら、難易度とやり応えは一気に天元突破。実績の全達成のみならず入手方法がドロップオンリーのレアアイテム類のフルコンプまでやり込もうとした場合、総プレイ時間は100時間あっても足りるかどうかというレベルに。
上記は最後のレアアイテム、隠し召喚獣の「ボム」入手直後のデータ。恐らく数時間程度の誤差はあるが、それでも優に90時間を越えるプレイ時間に我ながら震えた……こんなん小学生当時じゃ絶対に無理やん……親にしばかれる(笑)
「Ⅳ」のレアアイテム類は入手難易度の難しさの割に性能が微妙なコレクターアイテムに徹しているものもあれば、性能はそこそこなのに入手難易度から適正な時期に入手できずに結果やはりコレクターアイテムに成り下がってしまうというものが多いので、ここら辺も修正入れてもらえればもっと楽しさも面白さも増すと思うのだが、このレアアイテム入手難易度もまた「Ⅳ」の味のひとつなので、どう考えるかはやはり個人によるか。
総評:思い出補正も合わさって、個人的には極めて高評価のFFⅣピクセルリマスター。子どもの頃の不可能を可能にしたい貴兄にこそお薦めしたい
ファイナルファンタジーⅣピクセルリマスターをお薦めできる人とできない人、これらを大まかに分類すると、
多分に個人的な意見になるが、こんな辺りかと。確かに単にプレイしてクリアするだけなら、原作版に比べて難易度が相当緩いは事実だし、実際レベルが簡単に上がり過ぎてかなり物足りなさを感じてしまった。
しかしその分原作版ではどうしても難易度ヤバ過ぎて全要素を遊び尽くせなかったという人には間違いなくお薦めできるし、また「Ⅳ」を初めてプレイするという人にもちょうど良い難易度になっているので、そのストーリーの素晴らしさからも是非お薦めしたい。
(※アイテムドロップ率の難易度自体は原作同様鬼畜のままなので要注意)
対して原作準拠の難易度でないとどうしても駄目……と言う人には無理にはお薦めできないし、まぁ気持ちも全部では無いが分かる部分もある。多少の思い出補正があったとしても、ヌルゲー化してしまっている部分に違和感があるのもまた事実。
ただ、「Ⅳ」のリメイク作品はこのピクセルリマスターが発売されたことで一部のもの(3DS版など)を除き原作版(ドッド絵)準拠のものはこのピクセルリマスター版しかなくなってしまったため、現時点でお薦めできる「Ⅳ」のリメイク作品はこれしかなくなっているのもまた現実だが……
個人的には不満点はあるものの満足できた部分も多い、具体的には小学生の時分には時間的制約などで絶対に不可能だった全要素フルコンプを達成できたことが何より大満足だった「Ⅳ」ピクセルリマスターは、「Ⅳ」を知らない人には是非とも遊んで欲しい。
「Ⅳ」はその続編が発売されていることから分かる通り、FFシリーズの中でも特に有名かつ絶大な人気を誇る「Ⅶ」に匹敵する名作なので、SFCのドット絵のあの時代にこれだけの名作が生まれていたことを、多くの人に知ってもらいたい……と思う辺り、自分がもう言い訳しようもないほどに歳を取ったと感じる(笑)
補足:難易度選択をアップデートでブチ込んだら文字通り完全無欠?
改めて自分の感想を読み返してみると、前々からネット上でも言われていた通り難易度を選択可能にさえすれば、「Ⅳ」ピクセルリマスターの批判されている部分の大半は潰せるんじゃないかな……などと思ってみたり。
これ以上難易度下げるのはさすがにアレなんで、現状態を「イージー」あたりにして、原作準拠の「ノーマル」、自分の限界を試すのがお好きな諸兄向けの「ハード」、そして聖剣伝説よろしくドM専用の「ノーフューチャー」あたりをアップデートでブチ込んだら、もはや批判意見は消え去るのでは……
でもまぁ聖剣伝説あるいはFFⅦリメイクみたいなシステムならともかく、従来の王道的RPGシステムの「Ⅳ」の難易度ってどこをどうするのかでまた意見が割れそうではあるが、ともあれ難易度選択の実装は多くの人が望んでいるのもまた事実。
さあスクエニよ、我らの祈り、受け取りたまえ……!!