ドラクエⅪクリア記念ダイジェストレビュー
購入時にいきなりのトラブルに見舞われてから約 1 ヶ月、無事ドラクエⅪをクリア出来たので、全体を通して良かった点や気になった点などを、それぞれかいつまんでレビューしてみようかと。
本当は攻略記事仕立てにしつつ詳細なレビューを挙げたかったが、時間的制約及び楽し過ぎてそんなこと考える余裕もなくクリアまで一直線だったので、やむを得ずこういう形に(笑)
先に結論から言っておくと、ドラクエⅪ最高過ぎて辛い
それ以外の言葉がないくらい、ドラクエⅪが色々最高だった。もちろん気になる部分や改善を指摘したい部分もあったわけだが、それらも含めた上での評価だ。特に初代ドラクエからⅢに至るロトシリーズを至高としている身にとって、今回のⅪは色々と感慨深い作品だった……
それでは以下よりクリア感想&レビュー開始。ちなみにクリア後までの話を全部かいつまんでの感想&レビューなので、ネタバレ要注意 にて……
モンスターの質感、サイズ感が凄い
ドラクエⅪでまず驚いたのは、モンスターの質感やサイズ感が非常に際立って高品位であったこと。
モンスター自体の質感やディテールだけでなく、地面に落ちる影などもしっかりと再現。
フロッガーの滑りや蛙っぽい動きも見事に表現されていた。
ドラクエⅪの最初のフィールドではフロッガーのみならずおおがらすやいっかくうさぎなど、主にドラクエⅢ 初出の懐かしのモンスター達が割と多く登場したが、クリアしてみるとこれも「ああ……」と気付くポイントのひとつ。
質感だけでなく、デカさの表現も凄い。特に海での大王イカ系列のデカさにはちょっとビビる。出現は 1 匹ずつだが本体と触手が別カウントって、ザコ敵なのにまるでボスモンスター扱いじゃねぇかwww
これまでの作品だと大王イカとかはフツーに 3 匹同時出現してたが、なるほどこんなデカさのモンスターに 3 匹同時に囲まれたらそりゃ致命的だわ……
デカいといったらこれにもビビった。スケール感が色々狂う壁画世界において巡り会ったビッグサイズ宝箱。さぞかし素敵なブツが入ってるのかと思いきや……
分かってた。分かってたよチキショウが!
ひとくいばこにはその昔ドラクエⅢで結構トラウマ植え込まれたので、未だに苦手感あるのよねコイツ……ちなみにドラクエⅢでは単純な攻撃力なら大魔王ゾーマを筆頭としてバラモスゾンビなどの直属の配下の魔王連中に次ぐ攻撃力があるという常軌を逸したスペックでありながら登場するのは序盤という、色々おかしい化物だった。
見つけたら速攻バラして売り捌きたくなるようなゴールデン骸骨達。ここの黄金の質感も上手く再現されていた箇所のひとつ。
ザコでこれなのだから、ボスモンスターともなると質感・サイズ感共に格が違う。
特に魔王登場後は目を見張るモンスターばかりでかなりアツい。
またどんなモンスターを見ても「ドラゴンクエスト」のイメージを損ねないデザインなのも見事。ここら辺はかつて一気に 3D モデルと変貌して物議を醸したドラクエⅧでも感じたことだが、その時もやはり良い意味で「ドラクエは 3D になってもドラクエ」と思ったものだったが、今回も似たような衝撃と安心感を得た。
戦闘システムや全体のバランスについては正直「かなりヌルい」と感じたのも事実だが、まぁこれはスマホゲーが主流の最近の世代に合わせたとなると致し方が無しか……今の世代にかつてのドラクエⅡのロンダルキアとかやらせたら発狂ものかもしれんし(笑)
しかしながらドラクエの魅力のひとつであるモンスターについては、これまでもイメージを損ねることなく全体のクオリティアップに成功しているので、非常に大満足だった。
登場人物がメイン・サブ分け隔て無く魅力に溢れていた
登場人物の魅力やキャラの立ち方もドラクエⅪの魅力のひとつ。どのキャラも非常に個性豊かで強い魅力に溢れていた。メインキャラの中では、
ベロニカ・セーニャの双子が特にお気に入り。そうでなくともドラクエⅪでは一番人気で、特に魔王登場に伴うベロニカとの死別イベントが何より話題になったふたりだが、個人的にこのふたりにまつわるイベントとしては、
ケトス覚醒イベントが至高かと。
ケトス覚醒時のあの音楽と双子の台詞には「!!」と絶句した。このイベントを前提としてこその双子設定だったのか、それとも双子設定があったからこそケトス覚醒イベントにあの演出を盛り込んだのかは分からないが、ベロニカとセーニャの双子設定が究極に発揮された、最高のイベントだった。
ちなみにサブキャラとしては シャール様超大好き。
シャールともはやペア状態の魔女リーズレット。ええカラダしてる上に名前可愛いやね……伝説では結構ヤバいことしてる魔女なのに……
洗脳状態のバニーマルティナも見過ごせない。同人誌での人気も高い(笑)
かつての勇者達の物語もかなり良かった。外伝か何かでローシュ達の物語出したら結構良いんじゃとも思うが、ここら辺 DLC で何とかなりませんかね……
たったひとりでローシュパーティーの平均年齢底上げに貢献している魔道士・ウラノス。プレイ中「何となく名前似てるよな……」とは思ってたが、まさかあそこまでド直球だったとは(笑)
思えばウラノスさえ闇落ちしなければ邪神は討伐され後の脅威が発生することはなかったが、もしそうなら今に続く物語もなかったことに……と色々パラドックス的なことを考えさせられるオヤジだった。
しかし一体何をどうすれば後にこんな姿になるのかは機会があれば是非一度問いただしてみたところ。何でオメーのこと知らない=女になるんだよ……
ホムラの里の親子の物語も結構良かった……ホムラの里って結構イベント盛りだくさんだったし、ドラクエⅢを思わせるものがちらほら見えていたのが何より素晴らしい。
熱気バ○ラ、まさかの友情出演。モブキャラにも味のあるヤツが多いので、人数が要るだけに全員話していくのは結構ホネだが、それだけにやりがいは十分。トロフィーに「モブ全員と話した」とかあれば良かったのに……
魅力溢れるイベントの数々
ドラクエⅪでは物語の本筋及び「クエスト」にて膨大な数のイベントを体験できるが、そのどれもが非常に見応えのあるものばかり。
全部のイベントについて紹介しているとキリがないので、数あるイベントの中でも特にお気に入りのものや、気になったものを紹介していくことに。
イベント・クエストの宝庫にして物語上の重要拠点ともなるメダル女学園
メダル女学園、通常「メダ女」。最初はドラクエⅣのメダル王の城から始まった「小さなメダル」関連のあれこれは、
ついにここまで来たかと嘆息するレベルに進化した模様。
校庭にはメダルの地上絵(?)が。
校庭で可憐にメダルを拾い上げるための研鑽を積む乙女達。
校内では女子校のテンプレ的会話やイベントも……
生物学上メスに属するなら人外も入学 OK という寛容さ。
リップス系は何となくいるような気はしていた(笑)
スライムの女王とか初耳なんですが。
時間経過で登場する新顔も。
豪快過ぎるwww しかしどんなモンスターだろうとメスなら入学 OK。伝統ある名門校ながら、そこに差別や貴賤は一切無い素晴らしい校風。
でも男は駄目。くさった死体は OK でも、生物学上オスに属していると何が何でも NO という厳しい掟が……でもまぁ、
勇者特権で 夜中に学生寮に忍び込んでも叱られませんが。ほう、寝間着もお揃いですかほほぅ……
しかしながら真夜中に全身鎧で女子校の寮に忍び込むとか、怪しいヤツというレベルではないな……
学園内は結構細部まで凝った造りで、掲示板にはホイミスライムが手洗いしているポスターが……書いてある文字は解読できないが多分「帰ってきたら手を洗おう」。しかしホントに細かいな……
黒板に落書き……と言うか 神絵師がおるwww
食堂でも多くのイベントや小ネタが。
あるイベントでは若かりし頃のマルティナママの姿も。
ヤンキーも完備している隙の無さ。
男子禁制の女学園ながら、さすがに疲れ果てた旅人を無碍にすることはないらしい。さすが淑女を養成する名門校。またここの購買部では錬金に必要なアイテム類が多数販売されていたり「うちなおしの宝珠」が購入できるショップがあったりなど、何かとお世話になる重要な場所だった。
多分ドラクエⅪの全ショップの中で一番通い詰めたんじゃなかろうか……
発生するクエストの数も非常に多く、全部回収して回るのもひと苦労だった。
いや、あなたもう死んでるから……
黒板に描かれた地図。こういうの大好き。
ドラクエⅣから始まった小さなメダルだが、もはやドラクエにはなくてはならない要素に。
メダ女の制服も入手可能。これをベロニカ、セーニャ、マルティナに着せるとそれぞれに合ったグラフィックに。というか制服姿のベロニカ超可愛いかった!
メダ女は小さなメダル関連の拠点でもありクエストの宝庫でもある、実に充実した素晴らしい場所だった……
シルビアの世助けパレードのインパクト
インパクトという言うではドラクエⅪ屈指だった、シルビアの世助けパレード。
最初に見た時は何事かと思ったよ。
パレードの服着て主人公も参加可能。ちなみにこの状態だとフィールドでのメタル系の敵とのエンカウント率が上がるという隠された効果が!しかしそれを知ったのはレベル 99 になった後でのことだった……
一見狂った集団だが、一般人にはその見た目通りの威圧を与えている模様。
完全にヤバい人達になっとるwww
だが彼ら自身は極めて真面目で筋の通った理屈でこの狂行に及んでいるため、それによって救われた人々も多数いるみたい。まぁ頭張ってるのがあのシルビアだからな……
……?(脳の処理凍結中)
シルビアパパのジエーゴとのイベントもこれに絡む。
シルビアとジエーゴの和解イベントはクリア前とクリア後でそれぞれ若干異なりつつも用意されているが、やはり全体の流れ的にクリア前の方が好きかな……クリア後の各イベントはどうしても二番煎じ感あるのよね……
全体的にアツい勇者の剣関連イベント
ドラクエⅪの見せ場のひとつと言えば、やはり勇者の剣関連のイベント。
ロトシリーズ信奉者にとって、やはり勇者の振るう剣はロトの剣のみ。
しかし今回は、何と 魔王が勇者の剣を手にするという衝撃の事態に。
思えばこれまでその力を恐れた魔王に隠匿されたり破壊されたりしたことはあったが、魔王自身が勇者の剣を振るうということは一度も無かった。そう考えるとこの展開は非常に斬新だった。例外として漫画の「ロトの紋章」だと異魔神によって呪いを掛けられて魔人王の剣になってたりしたが。
破壊された勇者の剣に代わる、新たなる勇者の剣の作成イベントも熱かった……これもドラクエⅢの王者の剣関連のイベントのオマージュか。しかもこの火事場、ひと目見て分かったよ。
その形状や炉の流れが ロトの紋章になっていることに!
ひと目で気付き、全体を見て確信した時、身体が震えたよコレは……しかも火山の溶岩の高熱を利用してオリハルコン鍛えるって、初代王者の剣のアレと一緒じゃんか!(「ドラゴンクエスト アイテム物語」参照。)
主人公の名前は本名もじったのを入れてるので念のためボカしてるw。
新生勇者の剣は天空の剣テイストに。このデザインも天空シリーズとの繋がりとかで結構議論巻き起こしたなぁ……
柄の部分もデザインに変化が。効果は天空の剣同様「凍てつく波動」と同様の効果。
魔王打倒のために仲間達と力を合わせて勇者の剣を作るとか、どんだけ胸熱展開だったか。
勇者の剣・真はクリア後にやっと手にすることができるように。やはり個人的には従来のこっちのデザインの方が好き。
既に勇者の剣を所有しているクリア後も、もう 1 本勇者の剣を作ることが可能。
しかし勇者の剣、柄の部分とかまで一緒に鋳造の一体成形とかマジですか。むしろこっちの方が技術的難易度高くねぇかwww
勇者の剣、夢の二刀流。
正直片手に勇者の剣、片手に勇者の盾も外見的に魅力満載だったが、やはり攻撃力重視だとどうしてもこうなってしまう……しかしながらダメージ効率と会心発生率を考えた場合、
はやぶさの剣 +3 の二刀流での運用がメインとなっていたのは内緒だw
勇者の剣関連イベントは見ていて熱いし、トロフィー獲得要件にも絡むのでやりがいあるし、ホント良かった……装備でいうとできれば鎧も「光の鎧」があれば最高だったんだけどね……
勇者の星の正体、そして魔王との関係
その正体と全体との関連を知った時「なるほど!」と強烈に思ったのが、勇者の星関連の出来事。物語の最序盤から出てきていたので何かしら重要な意味があると思っていたが、まさかこう来るとは予想だにしていなかった……しかしながら、
初降臨時、ひと目見て「これ絶対ヤバい何かだわ」とは確信したwww だって放つオーラが禍々し過ぎだろwww
これをただの星と思えるようなら すぐに医者にかかりましょう。
コイツの正体を知った時も驚きだった……だってクリア前だと単なるポッと出の惨めなマスコットにしか見えなかったしwww
しかしこの設定や演出はこれまでのドラクエ史上で最も壮大でスケールがデカかった……
ドラクエⅪの根幹となる、時間を巡る物語
ドラクエⅪのサブタイトル「過ぎ去りし時を求めて」からも推測された、失われたものを取り戻すための時間を巡るイベント。
このイベントの前後でクリア前/クリア後と区別し、クリア後の話はこれまでのドラクエでのいわゆる「隠しダンジョン」に相当するものとされるが、
その内容や展開を見るに、
どう考えても このクリア後の物語までを含めて「ドラクエⅪ本編」だろうと思う。
だってクリア後のイベントこなさないとサブタイの意味ないしね……
大切な仲間との再会。そして、
時を遡り魔王となる前のウルノーガを倒すことで、魔王誕生により失われた多くのものを取り戻す。賛否両論あれどこれこそがドラクエⅪの物語の根幹のはず。でもクリア後の世界に行かなければこれらは何ひとつ得られないのだから、やはりクリア後も含めての本編という解釈が正しいかと。
そして完全クリア後の、もうひとつの物語の結末もまた然り。
ある意味最悪の最期を遂げた先代勇者ローシュとセニカの物語も、時を遡ることで修復される。
しかし目覚めていきなり目の前にローシュのコスプレしたのが立ってたらえらく驚くだろうなwww
本来ならば勇者の力が無ければ扱えないはずの勇者の剣を、勇者の力ごと譲渡されて願いを叶える力を得たセニカは、
時のオーブを破壊し、かつての、あのローシュのいた自らの時代へ。
しかしここでセニカは消滅し、その後過去に戻ったセニカにより歴史は幾らか変化したはずだが、現代に生きる主人公達にその影響は見る限り無い模様。つまり現在のこの世界とセニカが戻った世界の未来は連続していない、いわば平行世界として存在していると考えられる。
そうなるとやはり主人公が過去に戻ってきたこの世界と戻る前の世界は平行世界としてそれぞれ存在し、戻る前の世界では主人公もベロニカも消失した世界になってしまっている可能性が高い。
ここら辺の考えをどうするかは人それぞれで、この戻る前と戻った後の世界を天空世界とロト世界の分岐点とする考えもあるようだが、真実は公式に発表されない限り定まらないまま。
まぁこの曖昧さもまたドラクエの醍醐味のひとつと言えばそうなのかも。これまでのシリーズ間の考察もそうだしね……少なくともエンディングのアレから戻った後の世界がドラクエⅢに続いているのは確実なようだが。
これをもっと拡張して「隠しダンジョン」化すれば良かった「ネルセンの迷宮」
クリアするごとに願いをひとつ叶えてくれる、従来のドラクエの「隠しダンジョン」の立ち位置に一番近いのがこの「ネルセンの迷宮」。このネルセンの迷宮をもっと拡張・複雑化してやり込み型にすれば、もっとそれっぽくなったはず。
確かに。願いを叶えてくれる迷宮っていうなら、どちらかと言うとウラノスかセニカが管理してた方がソレっぽい。しかしながらウラノスはああなりセニカもああなので、消去法でネルセンしか管理する人がいなかったのが事実か(笑)
しかし ろくなモン管理してねぇなwww
盟友・ローシュの像の前でその力の継承者に何渡してんだよwww
ただ、話は分かる男の模様。
しかし今にして思えばネルセンもウラノスもセニカもドラクエⅢの各職業のグラフィックを基礎にした装備だったが、そう考えると勇者ローシュの装備もそれっぽいと言えばそれっぽい。
でも確かⅢの勇者のグラフィックって旅人の服だったよな確か……せっかく剣と盾を出したんだから、やはり光の鎧も出すべきだったのでは……
やはり勇者ロトと言えば、王者の剣、光の鎧、勇者の盾が揃ってこそだからなぁ……
魔王、そして邪神との決戦
ドラクエⅪでは魔王ウルノーガ打倒で一度エンディングが入り、その後時を遡り邪神ニズゼルファと対峙する。これを以て「クリア前」「クリア後」と区分しているが、それぞれのクライマックスとなる魔王戦、そして邪神戦はやはり猛烈にインパクトのある仕上がりになっていた。
魔王ウルノーガ戦はいわば「王道の魔王戦」だが、ウルノーガ自身は歴代でも異質な魔王
クリア前世界、一般に「異変後」世界のラストボス・魔王ウルノーガ。
これまた ド直球にマッチョな魔王が来た と思った。マッシヴ系としてはⅥのデスタムーア以来か?
対ウルノーガ戦では、それ自体よりも魔王に行き着くまでが非常にキツいというか面倒だった。天空魔城のあの複雑さはまさに「魔王城」といった感じ。最近のはラストダンジョンヌルいと言うかそもそもダンジョンじゃないのもあったりするので、そういう意味では懐かしい仕様だった……
ある意味これもラストダンジョン(あるいはその近辺)に付きものの敵、メタルキング。
ただ問題はここで乱獲し過ぎてレベルをほぼマックス近くまで上げてしまったため、この後の展開は全て楽勝というかニズゼルファ戦含めて 苦労した覚えが一切無い のが困りどころ。
ちなみに単にメタルキングとのエンゲージのみではなく、れんけい技の「スペクタクルショー」+「スーパールーレット」の合わせ技を乱用した結果でもあるがwww
魔王戦の前座・対ホメロス戦。何でこんな噛ませ犬に……
坂道どころが崖から真っ逆さまに転落人生のホメロスだったが、最期はレベル 99 近くの化物共によってたかってフルボッコされるという無残な結末を迎えることに……
そういう意味では魔王ウルノーガも大して苦戦しなかった。しかしながらウルノーガは元人間 → 元魔道士 → 魔王という異色の経歴を歩んできた魔王のためか、歴代魔王の中でも結構異質な感じで、そういう意味ではこれまでの魔王にはない魅力を放っていた魔王だった。
邪神の力を手に入れてからは自らの手で国々を混乱に陥れて滅亡させるのを繰り返し、勇者の力と勇者の剣を奪取して魔王となってから部下を使い世界を支配下に置こうと行動を始め、ついには真の邪悪であるニズゼルファの肉体である勇者の星の破壊にも成功し、自らの世界支配を確固たるものとしている。
これまでの魔王のように「既に支配者」ではなく、大きな力を手に入れた人間が徐々に世界を手にするまでの過程を描いており、真のラスボスであるニズゼルファを倒して世界の掌握を完了するという、いわば「魔王を倒して新たな魔王となった」という下克上要素を持った魔王だった。
二段階に変身するのは歴代の魔王っぽかったが、しかし左の骨の竜は一体何なのか最初分からなかったぞ……
前座の部下を倒し、魔王との決戦。そして魔王は当然のように二段階変身……と、ウルノーガとの戦闘自体は非常にオーソドックスな歴代ドラクエを踏襲する「魔王戦」となっているが、ウルノーガ自身がかなり異質というか珍しい在り方だった。
これまでのドラクエではこういうドラマが少ない傾向にあったので、こうしたキャラ付けというか設定を盛り込みつつ活かしたのは非常に良かった。でもあんまりやり過ぎるとドラクエらしさが消失してあっというまに FF 臭がするようになるから注意が必要だが(笑)
ラストバトル・対邪神ニズゼルファ戦はドラクエⅢファン感涙ものの展開
ドラクエⅪの真・ラストバトルとなる対邪神ニズゼルファ戦。
ドラクエⅪは PS4 の処理能力を活かしたモンスターの質感・サイズ感に優れているのが魅力のひとつなのは前述の通りだが、
この圧倒的スケールはまさにドラクエ史上最大レベル。
歴代シリーズではⅧの暗黒神ラプソーンが結構なボリュームだったが、ニズゼルファもそれに負けじとも劣らぬサイズ。設定的には多分竜王もシドーもゾーマもその他の歴代魔王達も結構デカいはずだが、本編のゲーム内で実際のサイズを実感できるようになったのは明らかに 3D 化したⅧからだしね……一応ビクトリーロードとかヒーローズでそのデカさを体感することはできるが。
対ニズゼルファ戦ではまず纏っている闇のころもを剥ぎ取り弱体化させる流れだが、この流れはドラクエⅢラストバトルの対大魔王ゾーマ戦を彷彿とさせるドラクエⅢファン感涙の演出……どころか、
BGM が「勇者の挑戦」に変化するあたりどう考えても神。
少年時代にドラクエⅢに入れ込んだ、現オヤジ共の心を鷲掴みにするために組まれたかのような対ニズゼルファ戦。その台詞の節々にもゾーマを思わせるものが入っているし、エンディング後の展開を見てもロト三部作に繋がることは明白なので、色々と妄想が捗る超存在と化している。
そのご尊顔はかなりキモいというか不細工で、しかも身体はドラゴンボールのセルに酷似というのも色々と話題になったが、これは別の宇宙より飛来した邪神という設定を鑑みれば、その異質さに頷ける点も。よく見れば体表は隕石が落ちた後のクレーターっぽくなってるし。
しかし一方でこのロトゼタシアに最初からいたのはニズゼルファの方で、後から闇の世界にやって来て光の世界を築いたのが聖竜という話もあるので、どちらが正しいかは要検証の必要があるかも……
総評:ロトシリーズが好きな人には絶対プレイして欲しい、ロト伝説の始まりを描く物語
して欲しいと言うか、絶対やれ
そのレベルで非常にお薦めしたいほどに面白かったドラゴンクエストⅪ。
個人的にはニズゼルファまでをきっちり「本編」として、そのクリア後にまたオマケ要素を用意してもらえれば完璧にベストだったが、まぁそこまで贅沢は言うまい……
ドラクエⅪはドラクエ 30 周年記念作品として歴代ドラクエシリーズのオマージュやネタなどをふんだんに盛り込んだ構成になっており、そのためこの後の物語の流れがどうなるか、時間改変前と改変後のそれぞれの世界の扱い、天空シリーズとロトシリーズの関係等々、様々な議論を巻き起こす結果となった作品でもあった。
個人的にはやはり【クリア後:邪神討伐後の世界】からはエンディングで示唆された通り【ドラクエⅢ(ロトシリーズ)】の世界へと繋がり、恐らく【クリア前:時を遡る前の世界】は天空シリーズへと繋がっていくのでは……などと妄想してみるが、公式が明確な発表をしない限りそれらは全て個人の妄想だし、各々それを出し合い楽しむのがドラクエだとも思う。
FF のようにキッチリカッチリと徹底的に詰め込まれ、ファンの妄想が入り込む余地がほぼないほどに完成された世界観の物語も面白いが、ドラクエのようにファンの考えがどの方向にでも膨らむ余地を多く残す物語も良い。
ここ最近では時間の関係で通勤中にもプレイできる 3DS 版のゼノブレイド程度しか RPG はプレイしていなかったが、久々にやりがいのある、最高の RPG をやり込めて良かったと思う。特に RPG = ドラクエの世代には心の琴線に思いっきり響いた作品だった。
もしいずれドラクエⅫが出るならば、その時を楽しみにまた日々を過ごしていこうかと……
ちなみにクリアするまでにその他のトロフィーコンプしてたので、クリアと同時に「トロフィー:伝説となりし者」獲得(取得条件は全トロフィーの獲得)。
ドラクエⅪのトロフィーは取得条件が面倒なものはあるが難しいものはないので、比較的トロフィーコンプしやすいゲーム。というかこれまでやったゲームでトロフィー獲得率 100% なのドラクエⅪだけだ(笑)