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さようなら……前に、M950t を解体してみた

投稿日2018年9月22日

 先日唐突にお亡くなりになり、ロジクール MX MASTER 2S との代替わりする形で引退することとなった、ロジクール Performance MX M950t。
 残念ながらかつての最高峰マウス MX Revolution には今一歩及ばなかったとはいえ、それでもロジクールマウスのフラッグシップ不在の期間は実質的なトップを努めあげた、優秀なマウスであったことには疑いない。

 そんな M950t だからこそ、このまま廃棄するには名残惜しい……ということで、どうせ捨てるならここは一発分解して中身を拝見しましょうというのが今回の趣旨。

 MX-R を使っていた時は少しでも長く MX-R を使い続けようと、汚れては分解、チャタリングが酷くなっては分解……とバラしまくってた経験があり、ロジクールのマウスはそれなりに分解し慣れていたりする。

 とは言っても M950t の分解は実はこれが初めて。一体どうなることやら……

Logicool Performance MX M950t 解体の儀

 分解の前に、まずはこれまでの PC ライフを支えてくれた M950t の最後の勇姿を。

 まぁ分解ったって最後には元の姿に戻すけど(笑)

 色々傷だらけ汚れだらけ。特に肌が接触する金属部分なんか、錆が浮いている始末。一応表面は定期的に拭いたりしていたけど、それでもやはり経年劣化が進んでいる。

 分解前に電池を抜いておく。M950t に標準搭載されているのはまさかのエネループ。しかもパナループではない、純粋純正の三洋製エネループ。今となってはある意味非常に貴重なレアもの。

 それではいよいよ分解開始。分解のためのネジ穴が見当たらないが、ロジクールマウスのネジ穴は基本的に机面との接触部になるゴムシールの下に隠れているため、まずはこれを剥がす必要がある。

 ここで MX-R 時代にはなかったトラップがひとつ。MX-R はこのゴムシールは単に貼り付いているだけだったのですぐ剥がれたが、M950t は一筋縄では行かなかった。
 ゴムシールをめくってみると、何と表面だけが薄くペリペリ剥けてしまい、粘着部の柔い下部部分のみが残ってしまった。しかもこれは綺麗に剥がせそうもなく、剥がすには破り取る形になる模様。

 もし分解後も普通に利用する予定ならここで躊躇うが、今回はどのみち廃棄が決定しているマウスのため、躊躇無くビリビリやってしまう。
 するとゴムシール下からはネジ穴が出てくる。ちなみにネジは星形の「トルクスネジ」のため、専用の工具がなければ分解は不可能だが、MX-R もトルクスネジだったため既に工具は所有しているので無問題。

 問題はもしマウスを分解後元に戻して使用する場合、ゴムシールを元に戻しても、破いて剥がした分だけゴムシールのかさが減っているため、ゴムシール部分を縁取っているプラ部分の方が高くなってしまい、マウスの動きがその分阻害されることになる点。
 もし元通りの使い心地を維持したいなら、ゴムシールを剥がす際に細心の注意を払って下部部分まで綺麗に剥がし取るか、破いた下部部分の代用品を探して貼り付けるかする必要がある。

 MX-R の時はあんなに簡単だったのにね……

 計 4 箇所のトルクスネジさえ外せば、後は簡単に分解可能。

 ただ 1 箇所だけサイドボタン部分と基盤が繋がっている箇所があるので、取り外しの際は要注意。

M950t 内部構造をチェック

 ではいよいよ M950t の内部の様子を確認していこうかと。

 まずはメインとも言えるスクロールホイール周辺部。左右クリックに使用されているスイッチは、MX-R 時代から変わることなく安心・安定のオムロン製。

 空けてみた感じ汚れはそこそこ溜まっているが、実のところ定期的に分解清掃していた MX-R よりかはずっと綺麗だった。ここら辺は密閉度が M950t の方が優れているのか、それとも他の要因があるのか不明だが、購入後放置していたにも関わらずこの程度で済んでいるのには少し驚いた。

 ただ、常に指でコロコロしていたホイール表面の汚れは半端ないが……

 充電池ケース周辺部。コンデンサに破損はなく、基板にも焼け付けなどの発生は見られず。ケーブルも見た目は問題無し。となれば今回の突然死の原因は基板裏側にあるレーザー読み取り部などにあると考えられる。

M950t 内部の基板の取り外し

 それではどこまで分解できるか試すべく、基板上にあるネジを全て外していく。ちなみに基板上のネジはトルクスネジではなく普通のプラスネジ。

 まずは前方、ホイール周辺部に 2 箇所(※この部分はホイールを固定している部分を外してから取るのが正解)。

 続いて後方。充電池ケースを固定しているネジが2箇所に、左側に基板を固定しているネジが 1 箇所。

 充電池ケースや基板に隠れるように 1 箇所。この計 6 箇所のネジを全て外す。

 続いてサイドボタンと基板を繋ぐケーブルも抜く。

 この部分のケーブルも取り外し可能。ちなみにこのケーブルは Darkfield レーザーセンサーユニットとの接続ケーブル。

 これでまずは見える範囲での基板上の外せるネジ、ケーブル類は全て外した。ここからはホイール固定部分を分解し、さらにその下に4箇所ネジ止めされている部分を外していく。

 ホイール固定部分を分解するには、まずこの閂になっている棒を抜く。

 そうすればホイール固定部分は基板から綺麗に外れる。

 ホイール固定部分を外したら、その下から基板を止めているネジが 4 箇所現れるので、これを全て取り外す。ちなみに前方の 2 箇所は先程ホイール固定部分を取り外す前に強引に抜いてしまったが、本来はこの時点で抜くのが正解。

 ホイールクリックを支えるバネが 2 箇所あるのでこれも取り外す。バネは特に固定されておらずただ穴に入っているだけなので、無くさないように注意すること。

 これで基板が外れ、残るは充電用の Micro USB コネクタの基板と、Darkfield レーザーセンサーユニットのみ。

 Micro USB コネクタの基板は透明の部品を外し、3 箇所のネジ止めを外したら簡単に取れる。

  Micro USB コネクタ基板の裏側。こういう構造になってたのか……

 最後は恐らく今回の M950t 突然死の元凶と思われる、Darkfield レーザーセンサーユニット部分。

 ユニット下部がツメで固定されているので、ツメを細いマイナスドライバーなどで外してやれば取り外せる。

 M950t 基板部分、完全に分解完了。単なる清掃だけならここまでしなくても良い。というかしない方が良い……元に戻せないわけではないが、ひたすらに面倒なので。

スクロールホイール部分の分解

 今回の目的は、M950t 廃棄前の完全分解。

 ……ということで、スクロールホイール部分も可能な限りバラしてみようかと。

 ぜっかくなので、バラしながら構造も観察することに。上記写真の赤丸部分がスクロールホイールのラチェットモード/フリースピンモードを切り替えるスイッチ。

 構造は単純なバネ仕掛けで、スイッチを押すと上記写真の赤丸部分にある金具がホイール内側のラチェット部分から離れてフリースピンとなり、もう一度押すと接触して再びラチェットモードになる。

 ホイール部分を完全解体。MX-R 時代から続くロジクールマウスの最高峰たる機能部分のためもっと複雑かと思いきや、部品点数は思ったより少なめ。

 ただ分解は簡単に出来ても元に戻すのは少しばかり面倒で、各部品の配置のみならず小さなバネの角度などもキチンと再現しないと、ホイールが上手くスピンしないようになってしまう。

 今回のように廃棄前提での解体でなければ、ここまで分解することは言うまでも無く非推奨。

左右クリックのスイッチ部分の分解

 せっかくなので、一番酷使している箇所である左右クリックのスイッチ部分も解体してみる。

 スイッチはオムロン製で、側面に記載されている型番は「D2FC-F-7N(10M)」。記載を見るに中国製。別にいいけどね……

 世の中には万が一スイッチがチャタリングを起こし始めたら、この型番のスイッチのみを調達して交換するという芸当をやってのける剛の者もいるらしい。そりゃあやってできないことはないだろうが、何とも凄まじい方々である。

 スイッチのカバーはツメで止まっているだけなので、細いマイナスドライバーなどで引っかければ簡単に外れる……が、マウスクリック時に触れる箇所にある白い部品はカバー内で何の固定もされておらず、カバーを外すと同時に簡単にすっぽ抜けるため、分解する際は無くさないように要注意。ちなみに今回の分解では見事に無くした……

 スイッチ側面図。この部分が劣化してくると、マウスの宿命であるチャタリング現象が発生する。ならばスイッチのみ交換して対応しようという発想は分からんでもないが、実際するとなると結構ハードルが高そう。技術的と言うよりも心理的に。

M950t 上部カバーも解体してみる

 さて、これで M950t の内部は可能な限り分解し尽くしたが、全体としてはまだ分解していない箇所がある。それは、

 そう、それは M950t 上部カバー。

 一見どこに分解する余地が……と思いきや、よくよく観察してみると その内部は超メカメカしい。

 使用されているネジの本数は基板部分以上の個数なので、実に分解しがいがある。とは言っても基板部分のようにそんなに複雑な構造ではなく、基本的に目に付いたネジを片っ端から外していけば何の苦労も無く分解可能。気をつけるのはケーブル配置を覚えておくことぐらい。

 上部カバー分解。思ったよりも細かく分解できた……ロジクールのマウスが如何にその高度な性能を保っているのかが良く分かる。まぁロジクールは見せること前提にしてないだろうけど(笑)

 サイドボタン類のスイッチ基板。基板上のスイッチでクリック感を出してた模様。

これまでありがとう M950t

 至高なる MX-R がお亡くなりになりやむを得ず購入した M950t。比較する対象があまりに偉大過ぎたため色々と不満もあったマウスだったが、使ってみればこれはこれで十分に使い勝手の良い、非常にハイパフォーマンスなマウスだった。
 残念ながら設定ソフトの SetPoint の機能がイマイチで MX-R ほど多彩なカスタマイズができなかったが、それでも日常使用で不満に思う点は少なく、電池切れの際はケーブルで充電しながら有線として使用もできるなど、MX-R より使い勝手が良かった面も多々あった。

 一応 MX-R の正当後継マウスである MX MASTER 発売後も M950t は再販され今でも入手可能ではあるが、やはり MX MASTER が存在する現在においては、わざわざ MX MASTER を差し置いて M950t を選択する理由は乏しいため、残念ながら M950t とはこれで完全にお別れとなる。

 今までありがとう、そしてさようなら M950t……せめて再販後の価格が MX MASTER よりも高価というふざけた価格設定じゃなかったら、まだ再購入検討の余地もあったのだが(笑)

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